2007年2月18日、春の陽気を感じさせる昼下がり、マンドリンを愛して止まない仲間が集まった発足記念ミニコンサートが、静岡市青葉通り沿いにある江崎ホールにて開かれました。
その名は、
「草薙マンドリンアンサンブル」。
遡ること数年前、メンバーは静岡県立大学のマンドリンクラブで日々練習に励んでいました。日々の練習風景を振り返り、メンバーの一人はこう語ります。
『
とにかく真剣でした。そこには真剣だからこそ得られる演奏の楽しさや喜びがあったような気がします。勉強や実験などで忙しい中、悩んだり苦しんだりしながらもよりよい音楽を創り上げようという熱意をもって一丸となって取り組んでいました。』
しかし、メンバーは次々に卒業を迎え、各地へ飛び立って行きます。
思い描いていた職業人の第一歩を踏み出した者、進学して専門分野の研究に励む者、メンバーはそれぞれの道を歩んでいましたが・・、
“
もう一度、みんなと一緒にマンドリンを弾きたい。”
メンバーの心の中には、その想いが日々募っていきました。
そして遂に、野口康子さん(マンドリン部14期生)の呼びかけで12期〜16期生のOB・OGが集まり「草薙マンドリンアンサンブル」が誕生しました。
演奏会の冒頭あいさつで、代表者の野口さんはこう語りました。
“学生時代のあの合奏の楽しさが忘れられず、みんなに声をかけて集まりました。私達は音楽が本当に好きで、私達が目指しているのは、音楽を愛することと、曲や音に秘められた想いを伝えることです。聴いている方の心に響くような演奏をお届けできたらと思っています。”
演奏の始まりはクラブソングである「カシアーナ温泉」。ゆったりとした川の流れを思わせる曲で、会場が穏やかな空気に包まれました。
1部では、山田真記子さんの丁寧な解説と指揮のもと、「ブラジル」「サンタルチア幻想曲」「クレオパトラの変貌と死」が演奏されました。踊り出したくなるようなテンポの良い曲から、深い悲しみを表現した曲まで、メリハリのある緊張感を漂わせる音に自然と惹き込まれました。また、フルートとの競演で音の楽しさをさらに盛り立てていました。
2部では、新田誠さんの表現力豊かな力強い指揮のもと、「ボレロ」「間奏曲」「ナポリの風景」が演奏されました。カスタネットが音のスパイスとなる場面あり、ふるさとを思い起こさせるような情景を表現した場面あり、聴く人の心に訴えかける音にすっかり魅了されました。
最後、アンコールの曲(Time to Say Goodby)は、明日からまた頑張ろうと思えるような選曲で、メンバーの心が一つになって伝わってきました。そして、
演奏が終わった後も拍手はしばらく鳴り止みませんでした。それはまさに、メンバーの気持ちが音楽を通して観客に伝わったと感じられた瞬間でした。聴き終えた観客からは、口々に‘本当に良かった’‘
また次回が楽しみ’との感想が聞かれました。
演奏会を終え、野口さんは次のように語ってくれました。
‘今回このメンバーで無事演奏会を行うことことができ、ご来場頂いた方々にも喜んでいただけたようで嬉しく思っています。とても気持ちよく弾けました。
メンバーは、合奏のためなら時間もお金も惜しまない、そんな音楽好きばかりです。これからも奏者自身が演奏を楽しみ、想いを込めて表現し、それが伝わるような演奏を目指していきたいです。’
また、その他のメンバーにも感想も伺ってみました。
・音楽を通して奏者の仲間や、お客さんの気持ちが伝わってくるようで、とても楽しくタクトを振らせていただきました。また演奏会を行うのが楽しみです。(指揮者、学生)
・心をこめて振れてとても気持ち良かったです。また、皆さんと楽しく演奏したいです。(指揮者・カスタネット、学生)
・とっても気持ち良く弾けました。(マンドリン、東京で看護師)
・もう一度楽器を弾く楽しさを覚えて、初めてマンドリンを触った時のような気分で演奏できました。人から聴いたらどうだろう・・・という不安もありましたが、皆さんからとても温かい拍手をいただいて、とても嬉しかったです。(マンドリン、薬剤師)
・とにかく楽しく弾くことができ、至福の時間でした。(マンドリン、会社員)
・今日は曲の情景を浮かべながら弾くことができました。これから先、お客さんによりイメージを伝えられるように頑張ります。(マンドリン、学生)
・とても楽しく演奏できました。音楽に対する愛情がお客さんにも伝わっていたら嬉しいです。(マンドラ、愛知で薬剤師)
・仕事が忙しくても、なぜか練習に出かけてしまいます。学生の時とはまた一味違った楽しさです。(マンドラ、栄養士)
・音楽は聴くのも弾くのも最高ですね。(セロ、仙台で看護師)。
・今日はとても楽しく弾くことができました。就職してからもこうやって好きなことに熱中できること、そして一緒に演奏する仲間がいることが幸せです。(ギター・栄養士)
・練習不足でちょっとみんなに申し訳なかったです。また頑張ります。(ギター、会社員)
・すごく気持ち良かったです。気持ちが音に乗り移れることを目指します。(ギター、学生)
・初めてのマンドリンとの舞台。私自身もマンドリンの魅力にひきこまれました。音楽の輪のすごさを改めて実感しました。(フルート、薬剤師)
メンバーは次の日から、また元の生活に戻って行きました。
夢を思い描いていた学生の頃、そして理想と現実の中で悩みながらも前に進もうとする日々、立ち止まることがあっても共感できる仲間がいることは大切なことだと思います。
また、今回の演奏会を通して、心から楽しむ姿には、自然と周りの人にもその気持ちが伝わることを教えてくれた気がします。
次回の演奏会は2007年9月に予定しているそうです。興味を持たれた方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?
(連絡先→野口康子:yasuko-nogu@hotmail.co.jp)