日本武尊はこれはどうしようもないとお逃げになった。

だが、あまりに武装し過ぎていてうまくお逃げになれなかった。
猪は神の形相で尊を追った。

「これまでか!」そう覚悟なされ、猪と正々堂々と闘われた。
熾烈を極めた戦いの末、草薙の剣で猪を討ち倒されたが、
その最後のひと突きと同時に致命的な傷を負われてしまった。

彼が静かに目を閉じる時、伊吹山山中には雹が吹き荒れていた。 

(完)

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