夏本番 県立美術館
田中敦子 未知の美の探求 1954−2000
(9月9日まで)
ポスターをクリックすると拡大します。>
鮮烈な戦慄!!
あなたはきっと今まで見た事もないものを見て、その場に立ち尽くすに違いない。「誰もやらなかった事でおもしろい事」を常に模索して来た田中敦子の40年にわたる活動による美のアイデアが、県美に結集した。
<田中敦子の美術とは? >
果たして、日本女性が描く現代美術とはどんなものなのか?なんて思ってこの展覧会に赴くと、ちょっと仰天するかも。そこであなたは今まで見た事のない妙な模様のような絵が、展示室の中を埋め尽くしているのを見るでしょう。「何なのこれは!? 」と、怒って帰るのも、「あたらしい世界に出会えた! 」と、喜ぶのも自由です。「絵を描かないとものの判断がおかしくなる」とまで言う田中さんの世界は、一人の日本女性が描いたものと言うよりも、まさに一人の芸術家の生命そのものなのです。
さあ、ここで彼女の代表作である「電気服」と彼女の画風について簡単に触れておきます。
<電気服> 彼女の代表作(上のポスター参照)。計200以上もの電球や管球とそれらを繋ぐコードでできている「服」である。電球・管球は9色に塗り分けられていて、不規則に点滅する。この不規則性が伝統や画一性を嫌う作者のこだわったポイントである。さて、いくら芸術とは言え「服」である限り着なくては意味がない。そういうわけで、田中女史はこの服を装着した事がある。初めて着る時は感電するのが怖かったとの事だ。ともあれ、彼女の勇気が報われてか、この電気服がその後の大躍進の大黒柱となったのだ。
<画風> 円とそれを取り巻く線が、カラフルに、自由にキャンパスを駆け巡る。そのダイナミックで捕らえ所のない構図は、一見単純なアイデアに見えるが、作者の全身全霊と、確固とした信念が伺える。注意深く分析すれば違いは確かにあるものの、終始一貫して上に述べたようなスタイルで、バリエーションがあまりに少ないのが物足りないのは否めない。だが、むしろ自らの人生を一貫した哲学で歩き、描いて来たその意志を称えずにはいられない。
↑展示会氏セレモニーで挨拶をする田中敦子さん
なんと、世界的に注目されているこの田中敦子さんの作品を、彼女のマニュアルに従って美術館スタッフが、美術製作を実演する !! これは見に行って自分の目で彼女の奇才を実感するしかない。
> 田中敦子展 > 『再制作作品の公開インスタレーション』
> 再制作作品の《舞台服》と《作品》の組立と設置を
> 公開で行います。
なお、日程は作品の状態や天候により変更の
> 可能性があります。
> > 1:《舞台服》
7月28日(土)29日(日) >
正面階段《アマリリス》横
2:《作品》
8月17日(金)18日(土) 正面玄関前
1・2とも、天候などにより日程変更の可能性あり。
田中敦子展示会を見ても慌てて帰らないで!
その向こうで、西洋の風景画展が君をピクチュアレスクな美しい自然の世界へ誘ってくれるのだから。
そして、それが済んで一休みしたら、県立美術館最大の傑作、ロダン館を観るのも忘れずに!
(草アートホームにある『モダンなロダンのロマン』で簡単に予習して行こう)
<その他のイベント>
アートフォーラム(県立美術館講座室・無料)
第2回 「田中敦子・自作を語る」 8月19日(日) 14:00〜15:30
第3回 「大人の美術のはなし。ワークショップのココロみ」 8月26日(日) 14:00〜16:00
倉科勇三氏(芦屋私立美術博物館学芸員)
第4回 「多様な色の意味について」 9月2日(日) 14:00〜15:30
奥村氏(グラフィックデザイナー)
再製作作品の展示および公開インスタレーション
1950年半ばに、具体美術協会関連の展示会に出品された作品を再制作し、期間限定で展示。
*高さ約6m、幅約5mの十字架状の作品。前面に取り付けられた電球が明滅。
場所:正面玄関
期間:8月17日(金)頃〜9月9日(日)頃
(インスタレーションの模様を公開)
*20個のベルを2m感覚で繋いだ作品。オリジナル作品と同じベル数で再製作。
場所:エントランス階段
期間:全会期
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