クラブ棟地下にある剣祭実行委員会の部室に、彼はいた。国際関係学部３年生。マーダーマンションの製作者である山田康博君は、私の想像していた人物像とは全く異なり、穏やかで優しげな人物だった。毎年学園祭で話題となる恐怖の館「マーダーマンション」の製作者にインタビューすることになり、どうしようもなく怖がりな私としては、心中穏やかでなかったたのだが、彼に会ってほっとした。しかし、ほっとしたのもつかの間、なんと部屋には彼の手作りのマーダーマンションの住人達がごろごろいるではないか！！血だらけの彼等に温かく見守られ、とにかくなるべく目を合わせないようにしつつ、インタビューをすることにした。

今回で山田君が剣祭実行委員会を引退するため、事実上マーダーマンションも３回目の今回で最後となる。「ＭＵＲＤＥＲＭＡＮＳＩＯＮ３〜ＴＨＥ　ＦＩＮＡＬ　ＦＥＡＲ」というのが、今回のアトラクションの正式名称だ。山田君の大学生活のすべてを注いだマーダーマンションの集大成である。２年前の学園祭から続いており、毎年きっちり反省し、それを活かし、進化してきた。ただのお化け屋敷と思って笑っているあなた。。。ぜひその考えの甘さを今回の剣祭で、知って欲しい。

　「最初から目を閉じてしまう人がいますが、どうか最後までしっかり目を開けてみて欲しい」山田君は言う。全てが山田君の手作りで、「全てが見せ場」だというから見逃せない。宣伝までこなす彼のこだわりは並みではない。真剣に、言葉を丁寧に選びながら語ってくれる彼からは、静かな情熱を感じた。

　ふと見上げると、山田君の作った人形（マーダーマンションの住人達）と目が合った。しかし、山田君にインタビューした後で見る彼等は、怖さよりも愛着を感じる。そう彼に言うと「じゃあ、また夜にでも見に来てください。ふふ・・・」と微笑まれた・・・。それは、嫌だ。