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C2
「この白い猪の姿をしているのは、山の神の使者であろう。今殺さなくても、帰りに殺してやる。」
そう言って先へ進もうとされた。
だが、猪は実は山の神の化身だった。
怒り狂った山の神は激しい雹を降らせた。
日本武尊は右も左もわからぬ深い山の中を
激しい雹にお打たれ続けられながらさまよい続けられ、
やっとの事で下山になられた。
なんとか、大和へ帰ろうとなさったが、どうもお身体がお思いになるようにならない。
どうも神の崇り(たたり)で病気になられてしまったらしい。
お休みになった地を当芸野(たぎの)とお名づけになり、
杖をついて歩かれた地を「杖衝坂」とお名づけになり、
足が三重の勾餅(まがりもち)のようにおなりになった地を「三重」と名づけられ、
お疲れになりながらも気丈に名前だけはお付けになり、
お得意の歌もうたい続けられたが、遂に能煩野(のぼの)にお付きなったところで、天に召された。
后や御子たちはたいそう悲しみになられ、歌をうたわれた。
すると日本武尊は白鳥となり野山を自由に飛びまわりながら、大和目指して飛んでいかれた。
かくして、これを日本武尊の白鳥伝説とよぶ。
(草薙伝説完)
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