ファーゴ |
「どうしようもない。」
「話にならない。」 「ありゃ一体何なんだ!?」 エド・ウッドとはかつて存在した映画監督。 つまりこの作品は伝記映画なのですが、 まぁ、事実は小説よりも奇なりと、 つくづく感嘆する人生を歩んでおられたようで。 映画監督エド・ウッドは後世にて、 『史上最低の映画監督』 という、大変不名誉な称号を磐石に得ます。 無論、その理由となるのは彼の撮る映画。 「ナゼにこんなにワケの判らんものを?」 と首をかしげる(見たら実際にかしげますよ)フィルムの中身。 売り込んだ所で無論のこと。 どこの映画会社も首を縦には振りません。 そこを必死に映画会社に媚を売ったり、 落ちぶれたスターをもう一度使ってみたり、 交渉のためにコロコロ内容を替えたり。 もう必死で足掻いて何とかして発表に漕ぎ着けようとする訳です。 そんなことしなきゃいいのに、 ソレが元で映画の中身は更に劣化、悪質化。 果ては友人として仲良くなったかつてのスター、 ベラ・ルゴシの無茶苦茶に付き合うハメになったり、 信じてきた恋人に愛想をつかされたり。 ホント、見事な泥沼。 こんな人が最後にゃーどうなってしまうか・・・・・・ はお約束として伏せときますので。 ところがこの「エド・ウッド」。 全く不可解な男を不可解なまま描いた割に、 映画としては見事な妙作なんですよね。 つくづく映画というモノの深さを感じます。 見ていて全然飽きない。 訳が判らないのに「もういいや」とは思えない。 撮影は1994年なのに、 全部白黒の古めかしい銀幕風情というのも、 見事なまでに舞台にマッチし、 伝記を読む、映画を見ると言うより本人を横で見ているよう。 拙者、親身に彼を心配してあげたくなるほどに、 感情移入できてしまいました。 キャスティングも凝りに凝ってまして。 主人公エド・ウッドには若手演技派、 しかも雰囲気作りの大天才、ジョニー・デップ。 落ちぶれたスター、ベラ・ルゴシには、 マーティン・ランドー。 またこのマーティン・ランドー、 本物のベラ・ルゴシにソックリなんですよ。 他、こちらもいい加減本人ソックリの、 オーソン・ウェルズ役ヴィンセント・ドノフリオ。 こっそり脇にビル・マーレーが居たりして、 リアリティから遊び心まで完璧な演出。 いやぁ、ティム・バートン恐るべし。 実際こんな快作を生み出す人物が、 「史上最低の映画監督」を撮っている、 そんな事実もいとをかし。 という訳で、真っ当な芸術に少々飽きてきたグルメな方、 「エド・ウッド」はダントツのオススメです。 |
「ファーゴ」 1996年 米 監督 ジョエル・コーエン / イーサン・コーエン 出演 フランシス・マクドーマンド / スティーブ・ブシェーミ ウィリアム・H・メイシー / ピーター・ストーメア 他 |
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