・・・赤い鳥居が見える。 静かな住宅地のなかに突然薄暗い空間が現れた。 大きな木がその鬱蒼とした枝をもたげて、赤い鳥居とその奥の社までを覆っている。赤い鳥居の奥に目を凝らすと、街頭の灯りで小さな池があるのが分かる。まるで、底のない真っ暗な空間がぽっかりと口をあけているようだ。もっと近寄ろうとしたが所々塗装の剥げた赤い柵が鳥居と池を囲んでいて、近づけない。これが姥ヶ池のようだ。柵越しに三体ほどのお地蔵さんが祭られているのが見える。(?)真中の一体は・・・顔が、ないようだ。 池の真後ろに建つ社のほうに周ってみると、たて看板が目に入った。何か書いてあるようだ・・・ ・・・今から千二百年ほど前・・金谷長者というお金持ちが住んでいました。子どもがないので、神仏に祈願し男の子を授かりましたが、ある年の流行り病でひどい咳を患ってしまいました。その子の乳母は、池のあたりの弁財天に祈願し、入水し死にました。子どもは助かり、長者は乳母に感謝し、社を建て乳母の霊を祭りました。すると池の底から泡が出始めました。この池のほとりに立って「姥かいな・・」と呼べば、それに答えるように泡が出ては、淋しく消えていくようになりました・・・・ 社の上の方に、「虫封じ 咳止め 夜泣き止」と書かれた札が貼ってある。 東海道を旅する人々は、この社に立ち寄っては子どもの健康を祈願したようだ。 「姥かいな・・・」と声をかけて行ったのだろうか・・・? ここであなたは、 |
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