至福の3時間 第10回
まずご挨拶をば。
初めまして。
今回よりこのコーナーを引き継がせて頂く光栄に預かりました、
草すく広報担当の御白州と申します。
それでは早速映画レビューに入りたいと思います。
拙者にとっては初回と言うことで、
映画選択の段階からこれでもかと、これでもかと悩みました。
そうして決まった映画がコレでございます。
摩天楼を夢見て
まずは概要から始めるのが良いのでしょうか。
舞台はNYの不動産会社ミッチ&マレー社。
特に大きくも小さくもありません。
そこに努める社員たち、そして彼らに関わる人物たち。
会社も街も地味なくせに、まぁその顔ぶれの豪華なこと。
アル・パチーノ、ジャック・レモン、アレック・ボールドウィン
エド・ハリス、アラン・アーキン、ケビン・スペイシー、ジョナサン・プライス・・・。
最早20世紀名優年鑑状態です。
主役は恐らくジャック・レモン演じるレビーン。
脇を固めると言って良いのかどうか判りませんが、
アル・パチーノ演じるローマやエド・ハリス演じるモス、
・・・・・・キリがないので止めましょう。
ある者はベテランのプライドを賭け、
ある者は栄光の証を求め、
またある者は自らの社に牙を剥く・・・。
登場人物それぞれの思惑が微妙に、時に激しく交錯しながら、
緩急自在に物語は展開していきます。
これだけの舞台俳優を並べれば出来上がるものはコレでしょう。
完膚無きまでに完成された台詞劇。
舌戦と呼ぶには余りにテクニカル。
話術戦と呼ぶには余りにハイセンス。
どうしてこんな台本が、台詞が、人間に書けてしまうのでしょうか。
教科書にするには追随出来得ない程の完成度。
それすらも形容の踏み台に過ぎません。
無論、台詞に酔うだけではつまらない。
舞台の折々に実にトリッキーに巧妙に、
罠が仕掛けられ、どんでん返しが隠してあります。
サスペンスやアクションムービーのスリル。
スリルはそれだけじゃない、と脳髄に叩き込まれるショック。
そう、しかも口先一つで。
どんな狡猾な罠であるのか。
そこは見て貰わないと何なんで、ここでは言いませんが。
全てに於いて完成された群像劇。
映画史に残る、いや、人類史に残る名作と言わせてもらいます。
至福の3時間を担当させて頂けることになりましたと同時に、
初回を切るに、ジェームズ・フォーリー監督がこの映画を世に送ってくれたこと、
重ねて本当にありがとうございました。
「摩天楼を夢見て」 1992年 米
監督 ジェームズ・フォーリー
出演 アル・パチーノ / ジャック・レモン / アレック・ボールドウィン
エド・ハリス / アラン・アーキン / ケビン・スペイシー
ジョナサン・プライス 他
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