日本一の信楽焼きタヌキ
「なんじゃこりゃ!?」のネタを決める時には
いつも1つ気をつけていることがある。
それは、そのネタに何か重々しい資料があるかどうか、ということである。
例えば、説明のついた記念碑などはその典型な例といえる。
しかし、今回はそのような資料の有無などを 一切考えることなく(ネタに苦しんでいることもあり)、
友人の「前から気になっててさ。」の一言で決めることにした。
後日、僕は、資料なんてなくても思いついたまま紹介すりゃいいさ、てな具合に
肩の力を抜いて目的の場所を訪れた。
しかし、そのことが僕に新たな取材の面白さを味わせてくれるとは
その段階ではまだ予想だにしなかった。
静岡県立大学から南幹線を清水側へ向かい300メートルぐらい進むと
スーパーいやまがある。
そのいやまの駐車場の向かって左端に
その「信楽(しがらき)焼きのタヌキ」は悠然とたたずんでいる。
譲り受けた値段は当時で30万円程し、信楽から草薙にまで運ぶ際にも30万円の保険を
かけた。まだまだ駆け出しの若造でしかなかった高木さんにとって
そんな大金を簡単に工面できるはずはなかった。
しかし、タヌキに対する情熱の前にはそんな大金も惜しいとは思わなかった(少しは思った)。 そういった面から考えても高木さんがいかに「タヌキ」に惚れ込んでいたのかがわかる。
なぜそこまでするほどそのタヌキに惚れ込んだのかと尋ねてみると、
高木さんは懐かしそうにこう言って笑った。
「なんででしょうね。タヌキという物は縁起が良いものであったし、
とにかくどうしても欲しい、と思ったんでしょうね。強いてあげるなら
日本一っていう響きに惹かれたのかもしれないですね。」
若かりし頃の高木さんは自身の盆栽屋の将来に夢を馳せ、最高のパートナーとして
その「タヌキ」を向かい入れたのである。
当時の事を話す高木さんはとても生き生きとしていた。
現在店と離れたところにあるのは南幹線が出来たときに
排気ガスで盆栽が痛むという理由で店を移し、
「タヌキ」はそのままにしていたからだそうである。
「タヌキ」の反響は大きく、バスに乗っている園児がそれを見て大騒ぎしたり、
遠路はるばる見に来る人がいるらしい。
一度、SBSラジオにも取り上げられたことがあるそうだ。
話を聞き終えた帰り、もう一度タヌキの前に立ち、改めて眺めてみると、
そのたたずまいがまるで自分のことのように誇らしく思えた。
この草薙にも高木昭夫さんのような人に惚れ込まれた日本一の「モノ」がある、と。
(終わりに)
冒頭で述べた「新たな面白み」とは「なんじゃこりゃ?!」を通して、
高木さんのような味わい深い人物に出会えたことである。
次回からもそんな出会いに触れ合いながら、取材していければ、と願う。
(連絡)
この「タヌキ」には名前がないそうなので名前を募集します。
是非、掲示板などに投稿して下さい。
高木さんによって許可をとってあるので正式に認められます。
どうぞ、よろしく。
担当:竹千代